道道1116号 おまけ
目次
上川郡東川町北7線(東川北7線ゲート)~旭川市東旭川町瑞穂(瑞穂ゲート)
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東川北7線ゲートを過ぎると、r611瑞穂東川線となって瑞穂へ向かう。この区間は白川美唄線として建設されたようで、従来の瑞穂東川線はもっと標高の高いところを通る砂利道であった。
r611交点が富良野上川線の実質的な終点であろうという話の続き。「道路現況調書」の数値では総延長28,912m、重用延長2,293mとなっているが、地図上で測定すると上宇莫別~東川北7線間の道のりは約29km、r213との重複区間は約2.3kmなので、上宇莫別~東川北7線間が富良野上川線の区域として扱われていると考えるのが妥当であろう。
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交点の方を振り返ると案内標識が設置されている。r1116の行き先は「旭岳」「天人峡」となっており、21世紀の森方面から旭岳温泉・天人峡方面へ向かう道路としての役割を果たしているように見える。実際には開通している期間が短く、期待されていたほどの役割を果たせていないのだが...
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標高450mを切り、カーブを繰り返しながら下ってゆく。相変わらず路側帯までゆったりしていて走りやすい道路である。
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右カーブの途中で旭川市に入る。美瑛・東川町境のような絵柄入りのカントリーサインは設置されておらず、シンプルな市町村名のみの標識である。
※マウスオーバー/赤枠内タップで東川町側を向いて撮影した写真を表示します。
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旭川市に入ってもどんどん標高を下げていく。途中、道路の右側が広く伐採されているところがあったが、この付近で旧道と交差しているようだ。
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標高はついに350mを切り、間もなくペーパン川沿いに出る。
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開発道路区間終点
東川北7線ゲートから約2.6kmでT字路に突き当たる。案内標識があり、左折がr611で旭川方面、右折がペーパンダムとなっている。21世紀の森も右折である。
なお、この交差点が開発道路としての終点となっており、ここから上川町白川までの区間は一度も開発道路に指定されたことがない。開通していれば旭岳温泉と層雲峡を結ぶ最短ルートとして重宝されていただろう。
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来た方向を振り返る。ゲート名は瑞穂ゲートで、冬期はこのゲートの時点で閉鎖される。東川・美瑛方面へ向かう車線の案内標識にはr611の行き先である東川市街のほか、旭岳と天人峡までの距離も書かれており、r1116の存在をアピールしている。
※マウスオーバー/赤枠内タップで案内標識を表示します。
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r1116の区間は終わったが、せっかくなのでr611の起点までの道のりを紹介しよう。交差点を左折してペーパン川沿いを下ってゆく。ここから先は通年通行が可能で、さっそく「矢羽根」も設置されている。
2014年撮影のGoogleストリートビューではセンターラインがなく舗装の質も悪いが、その後整備されたようで2車線道路となっている。
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沿線には水田があり、ようやく人里に戻ってきたという安心感がある。
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瑞穂橋でペーパン川を渡る。平成18年の完成と比較的新しい。なお、ペーパン川は2016年と2018年に大雨で増水し流域が浸水した。堤防が決壊した箇所もあり、応急処置ののち復旧工事が行われているところであった。
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瑞穂橋を渡った先、「この先幅員減少」という看板が設置されていたが、特に狭くなる箇所はなかった。進行方向右側の路肩にコーンが設置されていたので何か工事でもしていたのだろうか?
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標高は300mを切る。小刻みにカーブを繰り返しており、あまり走りやすい線形ではない。
開発道路区間はあくまでも新設の道路であるため、道路構造令に従って緩和曲線を含む線形で設計されていた。そのような高規格な道路と比べればどうしても見劣りしてしまう。
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50キロ規制となり、集落が近づいてくる。富良野上川線の本線では天人峡美瑛線との重用区間も含めて速度規制はなかったので、新鮮な感覚である。
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瑞穂東川線起点
画像110の地点から2.9kmでr611瑞穂東川線の起点に到着する。十字路より先はr295瑞穂旭川停車場線で、旭川駅までは24kmあまりの距離を残している。富良野上川線のチョボチナイゲート~東川北7線ゲート間を利用する場合はr611の利用が前提となるため、このr295にも同時にお世話になることがほとんどだろう。
r295の起点には道道標識が設置されている一方で、r611の起点には道道標識の類はなく、道道であることを意識できるのは瑞穂ゲートからであろう。
感想
富良野上川線はいつか自転車で走行しようと思いつつも、長期にわたって通行止めとなっていたためなかなか走行できずにいた路線であった。チョボチナイゲート~東川北7線ゲート間は開通初年度を除いて青春18きっぷの使用可能期間に開通したことがなく、札幌から普通列車のみでの日帰りが困難だったことも走行の機会を作りにくい一因であった。今回、3連休のうち後半2日間に雨が降らなかったので移動日を挟んでようやく走行することができた。
宇莫別~俵真布間は町道からの昇格区間のため道道らしい雰囲気は感じられなかったが、俵真布地区では遠くに旭岳の姿を見ることもできた。
俵真布~忠別間は2013年に開通した区間で、新しく建設されたにもかかわらず最大11%の勾配と急カーブが連続する大変な区間であった。天気の良い日であれば忠別ダムの眺めももう少し綺麗だったかもしれない。
道道重用区間と町道からの昇格区間を過ぎて、チョボチナイゲートから先の走行が今回最大の目的であった。序盤から急勾配・急カーブの連続で、「地すべり観測中」という看板は普通の路線ではまず見られないようなものであった。自転車で走るには大変な区間だったが、自動車と違い止まって様子を観察しやすいという利点が本路線ではより有利に働いた。
道路規格が3種3級の区間に入ってからは、嶺雲橋をはじめとして曲線の道路が見せる美しさを堪能することができた。紅葉がきれいな季節に走ってみたい道路だと感じたが、冬期閉鎖の開始が早いのでそのような景色を見るのは少し難しそうだ。
開発道路として建設された道道路線は道内に多数あるが、富良野上川線は最後まで指定が継続され2010年に北海道に事業が移管された数少ない路線である。2004年度の事業再評価では何とか事業継続の判定がなされたが、整備区間は大幅に短縮され道路規格も低下し、「意地でなんとか開通させた路線」という印象は拭えない。長い冬期閉鎖区間に加え地すべりの恐れによる長期の通行止も相まって「幻の道道」などと言われるようになり、当初の計画ほどには活用されていないのは残念だ。
筆者はこのレポートをもって富良野上川線を「無駄な公共事業だ」と批判するつもりはない。ただ、長い期間と少なくない工費をかけてせっかく完成させた道路がほとんど活用されないのは大変もったいない。地盤の状態次第で通行可能かどうかが変わるという事情はあるだろうが、少しでも長い期間で開通して利便性が高まることを願っている。一人の道路愛好者として、せっかく生まれてきた道路を利用したいという気持ちがあるのだ。