大正15年

大正15年4月7日

この日は3本の準地方費道が認定され、道路・附属物の区域も同時に決定されました。大正時代では最後の路線認定となりました(昭和への改元は12月25日)。

告示の条文

以下に告示の全文および表を掲載します。原文は縦書きで、整理番号はいずれの告示でも漢数字です。なお、表中の旧字体は新字体に修正しました(修正を施した旧字体と新字体の対応表は本ページの末尾に掲載します)。

北海道庁告示第二百九十六号

北海道準地方費道ノ路線ヲ左ノ通認定ス

大正十五年四月七日

北海道庁長官中川 健蔵

番号路線名起点名終点名重要ナル経過地
(一〇五)芦別神居古潭線空知郡芦別村字下芦別上川郡江丹別村字神居古潭 [注1]地方費道札幌根室線(空知郡芦別村字下芦別十六線八号ニ於テ分岐)、空知郡音江村字内大部(国道二十七号線経由)
(一〇六)長沼江別線夕張郡長沼村字長沼札幌郡江別町大字江別町空知郡幌向村
(一〇七)雄武美深線紋別郡雄武村字オコツナイ中川郡美深町基線五線地方費道稚内網走線(紋別郡雄武村字ワクカサクナイニ於テ分岐)、中川郡美深町字ニウプ

(筆者注)

注1
現在「神居古潭」という地名があるのは石狩川左岸の旭川市神居町(旧:上川郡神居村)ですが、当時は石狩川右岸(現:旭川市江丹別町春日)にも「江丹別村字神居古潭」という地名がありました。芦別神居古潭線の終点があったのは石狩川右岸の江丹別村字神居古潭であり、国鉄函館本線の神居古潭駅付近と推測されます。
  • 経過地の欄では改行や読点を挟まずに複数の事項をつなげて記載している箇所があります。本ページでは適宜読点を補っています。

北海道庁告示第二百九十七号

北海道準地方費道芦別神居古潭線外二線ノ道路及附属物ノ区域ヲ左ノ通定メ供用ヲ開始ス

大正十五年四月七日

北海道庁長官中川 健蔵

番号路線名区間道路ノ区域附属物ノ名称及幅員
延長幅員名称延長幅員
(一〇五)芦別神居古潭線空知郡芦別村字下芦別十六線八号
上川郡江丹別村字神居古潭
6里06町03間6分6厘
(24,224.84m)
4間
乃至
8間
(7.27m
乃至
14.54m)
空知川橋331.5尺
(100.45m)
14尺
(4.24m)
見返橋912
(3.64m)
班渓橋8412
大山橋612
下千場橋912
大石橋1512
山際橋1812
平ノ橋912
三又橋2412
分水橋912
向田橋1812
新庄橋8412
本流橋5712
入口橋612
江村沢橋1812
排水橋612
山田橋1212
近嶺橋612
嶺橋612
第一号橋2412
第二号橋1812
第三号橋3612
第四号橋2112
第五号橋4812
第六号橋1812
第七号橋612
第八号橋612
第九号橋9410
第十号橋8212
第十一号橋6310
神龍橋350
(106.06m)
9
(2.73m)
第十四号橋249
第十五号橋189
(一〇六)長沼江別線夕張郡長沼村字長沼
札幌郡江別町大字江別町
4里22町22間5分5厘
(18,150.09m)
10間
(18.18m)
長一排水橋612
長二排水橋612
長三排水橋1212
長一古川橋3612
長二古川橋3612
長四排水橋1212
長五排水橋912
長六排水橋912
幌一排水橋912
幌二排水橋1512
幌三排水橋912
幌四排水橋612
幌五排水橋612
幌一古川橋612
幌二古川橋912
藤田渡船場37間
(67.27m)
-
(一〇七)雄武美深線紋別郡雄武村字ワツカサクナイ
中川郡美深町基線五線
16里12町31間3分
(64,202.36m)
6間
乃至
20間
(10.91m
乃至
36.36m)
第一号橋6尺9
第二号橋189
第三号橋129
第四号橋159
第五号橋99
第六号橋69
第七号橋69
第一号橋489
第二号橋612
第三号橋1212
第四号橋1212
第五号橋4812
第六号橋912
第七号橋3012
第八号橋1212
第九号橋1512
第十号橋612
第十一号橋3012
第十二号橋612
第十一号橋4512
第十号橋1212
第九号橋1212
第八号橋3012
第七号橋612
第六号橋3012
第五号橋1512
第四号橋2412
第三号橋1212
第二号橋1812
第一号橋612
第二十五号橋909
第二十六号橋219
第二十七号橋99
第一号橋279
第二号橋609
第三号橋69
第四号橋609
第五号橋396
第六号橋309
第七号橋99
第一号橋219
第二号橋309
第三号橋309
第四号橋309
第五号橋99
第六号橋309
第七号橋129
第八号橋129
第九号橋129
第一号橋99
第二号橋159
第三号橋669
第四号橋789
第五号橋69
第六号橋609
第七号橋1812
第八号橋69
第九号橋309
第一号橋99
ニウブ第一号橋789
第十二号橋99
第十三号橋309
第十四号橋612
ニウプ川第二号橋9613
第十六号橋69
第十七号橋3012
第十八号橋1812
第十九号橋1212
第二十号橋6012
ニウプ川第三号橋108
(32.73m)
13
(3.94m)
ニウプ川第四号橋10813
辺渓橋10813
第二十四号橋69
第二十五号橋2412
第二十六号橋1212
第二十七号橋2712
第二十八号橋99
第二十九号橋69
第三十号橋99
第三十一号橋1212
第三十二号橋1212

(筆者注)

  • 原文は縦書きで、数字は全て漢数字です。また、延長および幅員の数値における単位は1行目のみに表記されています。本ページでは、延長および幅員の数値部分の漢数字を算用数字に書き換えています。
  • 一部の数値について、メートル法に換算した数値を赤文字のカッコ書きで併記しています。

各路線の詳細

※注意:この節には筆者の推測をもとに書かれている部分があります。ご了承ください。

「現行路線」は、現行の国道及び道道のうち当時のルート上に存在するもの(路線番号は現行のもの)を、「廃止後引継路線」は廃止された地方費道及び準地方費道の後を引き継ぐ形で認定された路線(そのうち廃止と同時に認定された路線は太字、路線番号はいずれも認定当初のもの)を掲載します。

準地方費道105号 芦別神居古潭線

芦別村(現:芦別市)道路元標を起点とし、地方費道3号札幌根室線に重複して滝川方面に向かい、地方費道から分岐しておおよそ現在のr4旭川芦別線のルートで国道27号(現:R12)に取り付き、神居村字神居古潭(現:旭川市神居町神居古潭)で国道から分岐して神居古潭駅付近へ至る路線でした。このうち石狩川を渡る神龍橋は大正14(1925)年の竣功で、昭和13(1938)年に架け替えられ神居大橋となりました。その後何度か大規模な修繕を行っていますが、人道橋として令和6(2024)年現在も健在です。橋の右岸側から神居古潭駅跡までは階段が続き、車道にはなり得ない勾配です。

芦別市~神居村神居古潭間が主要地方道に指定され、昭和29年3月30日にr7旭川芦別線が認定された際に廃止となりました。神居大橋を含む神居古潭近辺の区間は、自動車の通行ができないことが影響したのか、後継路線は認定されませんでした。現在は旭川市道神居古潭吊橋道路線となっています。

準地方費道106号 長沼江別線

長沼村(現:長沼町)道路元標を起点とし、おおよそ1975年当時のR337のルートで江別町(現:江別市)道路元標へ至る路線でした。なお、R337は江別東インターチェンジの供用開始や美原バイパスの開通により、江別市内で現在までに大きくルートを変えています。

昭和32年7月25日に、後継路線のr210江別長沼線が認定された際に廃止されました。その後昭和50(1975)年にR337に昇格しました。

準地方費道107号 雄武美深線

雄武村(現:雄武町)道路元標を起点とし、地方費道9号稚内網走線に重複して網走方面に向かい、地方費道から分岐しておおよそ現在のr49美深雄武線のルートで美深町の地方費道6号旭川稚内線(現:R40)交点へ至る路線でした。

昭和32年7月25日に、後継路線のr255雄武美深線が認定された際に廃止されました。その後昭和46(1971)年に主要地方道へ昇格し、路線名を美深雄武線に変更しています。


大正15年7月6日

この日は準地方費道66号室蘭似湾線の道路区域の変更が行われました。似湾村は大正14(1925)年10月21日に道路元標の位置を変更しており、旧元標位置から新元標位置までの区間を準地方費道に編入するための措置といえます。

似湾村の旧元標位置は似湾村大字似湾村487番地先で、現在のむかわ町穂別仁和(地理院地図)付近と推定されます。北海道鉄道金山線(後の国鉄富内線)の似湾駅(後の栄駅)へ向かう道路の分岐点でした。一方で、新元標位置は似湾村大字穂別村字下穂別186番地先で、附属物に茂別橋が含まれていないことなどから、現在のむかわ町穂別の中心市街地(地理院地図)付近と推定されます。新たに編入された区間は当時の里程で4里あまり(約16km)に達しており、かなり大幅な元標位置の変更となりました。

告示の条文

以下に告示の全文および表を掲載します。原文は縦書きで、整理番号は漢数字です。なお、表中の旧字体は新字体に修正しました(修正を施した旧字体と新字体の対応表は本ページの末尾に掲載します)。

北海道庁告示第五百九十五号

大正十四年十月北海道庁告示第七百二十九号勇払郡似湾村道路元標位置変更ニ伴ヒ準地方費道室蘭似湾線ノ新ニ編入区間ニ対スル道路及附属物ノ区域ヲ左ノ通定メ供用ヲ開始ス

大正十五年七月六日

北海道庁長官中川 健蔵

番号路線名区間道路ノ区域附属物ノ名称及区域
延長幅員名称延長幅員
(六六)室蘭似湾線勇払郡似湾村大字似湾村四百八十七番地先
勇払郡似湾村大字穂別村字下穂別百八十六番地先
4里06町13間3分
(16,387.80m)
8間
乃至
10間
(14.54m
乃至
18.18m)
小仁橋6尺12尺
(3.64m)
ポロナイ橋612
海河運橋4812
カイカニ一ノ橋1812
カイカニ二ノ橋1812
カイカニ三ノ橋612
カイカニ四ノ橋3012
ビラウトリ橋2412
イナエップ橋7212
岩見橋612
活建橋7212
小代橋129
累標橋180
(54.54m)
12
古川橋3012
天ノ川橋3012
五月橋4812
サツコツ橋3612
相ノ沢橋612
上マコップ橋3012
小別橋612
兼楽橋612
鵡川渡船場75間
(136.36m)
-

(筆者注)

  • 原文は縦書きで、数字は全て漢数字です。また、延長および幅員の数値における単位は1行目のみに表記されています。本ページでは、延長および幅員の数値部分の漢数字を算用数字に書き換えています。
  • 一部の数値について、メートル法に換算した数値を赤文字のカッコ書きで併記しています。
  • 原文では、一部の橋梁(カイカニ二ノ橋~カイカニ四ノ橋)について、橋梁名の一部が「同」で省略されています。本ページでは、省略しない形式に書き直しました。

修正対象の旧字体一覧

本ページの告示中で修正対象とした旧字体と、修正後の新字体との対応をまとめた表です。

修正対象の旧字体一覧
PDFで見る(新規タブ)

大正15年7月6日時点での地方費道・準地方費道一覧

大正15年4月7日に3本の準地方費道が認定されましたが、前述の通り、これが大正時代最後の路線認定となりました。そこで、準地方費道室蘭似湾線の区域変更が行われた大正15年7月6日の時点で存在していた路線を反映した路線網図を下に掲載します。
画像をクリックするとPDFで詳細な図を表示します。

大正15年7月6日現在の道内路線網図

また、この日の時点で存在していた路線の一覧を以下に掲載します。

地方費道

整理番号路線名
1札幌江差線
2札幌浦河線
3札幌根室線
4札幌稚内線
5旭川根室線
6旭川稚内線
7帯広浦河線
8帯広網走線
9稚内網走線
10網走釧路港線
11札幌岩内線
12札幌円山線
13札幌停車場線
14函館停車場線
15倶知安停車場線
16小樽中央小樽停車場線 [注3]
17小樽港線
18旭川停車場線
19留萌停車場線
20留萌港線
21網走停車場線
22網走港線
23帯広停車場線
24釧路停車場線
25根室港線
26根室停車場線

準地方費道

整理番号路線名
1札幌倶知安線
2札幌留萌線
3札幌広島線
4札幌篠路線
5札幌恵庭線
6札幌札幌村線
7札幌新篠津線
8石狩軽川停車場線
9厚田岩見沢停車場線
10浜益滝川停車場線
11長万部停車場室蘭線
12函館椴法華線
13椴法華森港線
14函館大野線
15函館江差線
16函館福山線
17福山江差線
18江差岩内線
19江差久遠線
20江差太櫓線
21熊石八雲停車場線
22瀬棚国縫停車場線
23大野本郷停車場線 [注3]
24倶知安室蘭線
25寿都港蕨岱停車場線
26倶知安磯谷線
27徳舜瞥倶知安線 [注3]
28徳舜瞥伊達線 [注3]
29入舸岩内線
30倶知安高島線
31倶知安発足線
32倶知安入舸線
33倶知安赤井川線
34真狩狩太停車場線 [注3]
35岩見沢長沼線
36岩見沢幌向線
37札幌夕張線
38岩見沢三笠山線 [注3]
39岩見沢北線
40岩見沢浦臼線
41岩見沢歌志内線
42岩見沢秩父別線
43深川和寒線
44深川停車場線
45旭川留萌線
46旭川当麻線
47旭川東川線
48旭川上士別線
49名寄停車場天塩港線
50旭川江丹別線
51名寄紋別港線
52下富良野停車場線 [注3]
53留萌幌延線
54増毛港線
55稚内鬼脇線
56稚内沓形線
57沓形鬼脇線
58稚内船泊線
59枝幸港小頓別停車場線
60旭川下湧別線
61常呂留辺蘂線
62網走置戸線
63網走滝ノ上線
64野付牛停車場線 [注3]
65室蘭浦河線
66室蘭似湾線 [注3]
67苫小牧停車場線
68浦河旭川線
69浦河市父線
70浦河佐瑠太停車場線 [注3]
71浦河港線
72帯広本別線
73帯広屈足線 [注3]
74帯広川合線 [注3]
75広尾豊頃停車場線
76広尾港線
77釧路網走線
78釧路鳥取線
79釧路昆布森線
80釧路浜中線
81釧路足寄線
82根室歯舞線
83根室植別線 [注3]
84根室乳呑路線
85根室蘂取線
86標津厚岸港線 [注2]
87根室落石線
88札幌当別線
89函館亀田線
90旭川鷹栖線
91岩見沢納内線
92岩見沢雨竜線
93夕張停車場線
94函館鹿部線
95利別八雲線 [注3]
96カルルス登別停車場線
97稚内猿払線
98網走女満別線
99常呂野付牛線
100帯広鹿追線
101寿都停車場線
102沼田妹背牛停車場線
103旭川智恵文線
104追分停車場線
105芦別神居古潭線
106長沼江別線
107雄武美深線

(筆者注)

注2
認定時の告示では「標津厚岸線」と記載されていますが、後年の資料および告示では一貫して「標津厚岸港線」と記載されています。当サイトでは認定時の告示の誤記と判断し、「標津厚岸港線」として取り扱います。
注3
これらの路線は廃止時に認定時とは異なる路線名になっています。認定時と廃止時の路線名の対応と、変更日は以下の表のとおりです。なお、これらの路線名変更はいずれも昭和6年8月5日以降に行われており、大正15年7月6日時点で路線名が変更されている路線はありませんでした。
整理
番号
認定時の路線名廃止時の路線名変更日T15.7.6
時点で反映済
地方費道
16小樽中央小樽停車場線小樽停車場線S25.11.7
準地方費道
23大野本郷停車場線大野渡島大野停車場線S25.11.7
27徳舜瞥倶知安線大滝倶知安線S25.11.7
28徳舜瞥伊達線大滝伊達線S25.11.7
34真狩狩太停車場線留寿都狩太停車場線S6.8.5
38岩見沢三笠山線岩見沢三笠線S25.11.7
52下富良野停車場線富良野停車場線S25.11.7
64野付牛停車場線北見停車場線S25.11.7
66室蘭似湾線室蘭穂別線S6.8.5
70浦河佐瑠太停車場線浦河富川停車場線S25.11.7
73帯広屈足線帯広新得線S6.8.5
74帯広川合線帯広池田線S6.8.5
83根室植別線根室羅臼線S6.8.5
95利別八雲線今金八雲線S25.11.7

参考文献


告示出典