昭和25年12月28日

この日の告示について

この日は2本の準地方費道が認定されましたが、これらが旧道路法における最後の準地方費道の認定となりました。


告示の条文

以下に告示の全文および表を掲載します。原文は縦書きで、整理番号は漢数字です。なお、表中の旧字体は新字体に修正しました。

北海道告示第千百五十五号

北海道道路令第二条第四号によつて、準地方費道 [注1]の路線を、次のように認定する。

昭和二十五年十二月二十八日

北海道知事田中敏文

認定番号路線名起点名終点名重要な経過地
一九九新十津川砂川停車場線樺戸郡新十津川村元標空知郡砂川町砂川停車場新十津川村字下徳富
二〇〇士別苫前線上川郡士別町元標苫前郡苫前町元標 [注2]幌加内村字添牛内
苫前町字古丹別

(筆者注)

注1
原文では「準地方費」の誤記。
注2
原文では「苫前郡」の誤記。

各路線の詳細

※注意:この節には筆者の推測をもとに書かれている部分があります。ご了承ください。

「現行路線」は、現行の国道及び道道のうち当時のルート上に存在するもの(路線番号は現行のもの)を、「廃止後引継路線」は廃止された地方費道及び準地方費道の後を引き継ぐ形で認定された路線(そのうち廃止と同時に認定された路線は太字、路線番号はいずれも認定当初のもの)を掲載します。

準地方費道199号 新十津川砂川停車場線

新十津川村(現: 新十津川町)道路元標を起点とし、地方費道4号札幌稚内線に重複して下徳富(現在の南11号交差点)に至り、そこから現在のr283砂川新十津川線、R12、r322砂川停車場線のルートで砂川停車場に至る路線でした。昭和25(1950)年10月に石狩川を渡る砂川橋が着工され、昭和27(1952)年8月に完成しました(現在の砂川大橋は平成元(1989)年開通、2代目)。

実延長区間がr231砂川新十津川線およびr304砂川停車場線に引き継がれ、昭和32年7月25日に廃止されました。

準地方費道200号 士別苫前線

士別町(現: 士別市)道路元標を起点とし、おおよそ現在のR239のルートで苫前村(現: 苫前町)道路元標に至る路線でした。準地方費道のラストナンバーです。起点~添牛内間は準地方費道139号幌加内士別線に重複しており、実延長区間は添牛内~上平でした。

士別と苫前を結ぶ道路(士苫道路)は大正13(1924)年度に着工予定となったものの、御料地を通るために各所との調整が必要になり、本格的に着工できたのは昭和3(1928)年からでした。昭和8(1933)年~昭和24(1949)年に戦時体制などの影響で長期間にわたり工事が中断され、準地方費道に認定されたのは昭和24年7月に工事が再開されて間もないタイミングでした。

全線が二級国道239号網走留萌線に引き継がれ、昭和29年3月30日に廃止されました。国道昇格後も霧立峠を含む区間の工事が進められ、全線が開通したのは昭和40(1965)年7月のことでした。


現行道路法施行直前の地方費道・準地方費道一覧

この日の告示を最後に、現行道路法が施行された昭和27(1952)年12月5日まで地方費道・準地方費道の認定および廃止は行われませんでした。つまり、この日の時点で旧道路法における路線網の最終形態といえる状態になっていたのです。ただし、昭和27年12月4日には一級国道が指定され、同年12月5日に現行道路法が施行された時点で道路法施行法第2条により旧道路法下の国道は廃止されたため、昭和25年12月28日時点での路線網が存続したのは昭和27年12月3日までといえます。

そこで、昭和27年12月3日の時点で存在していた路線を反映した路線網図を以下に掲載します。画像をクリックするとPDFで詳細な図を表示します。

(2023/7/23追記)当初は「現行道路法施行時点」の路線網図および路線一覧を掲載していましたが、上記の通り昭和27年12月5日の時点では一級国道が指定され旧道路法下の国道は廃止されているため、「現行道路法施行直前」と表現を変更し、昭和27年12月3日時点に改めました。路線網図および路線一覧の内容に変更はありません。

昭和27年12月3日現在の道内路線網図

また、昭和27年12月3日時点(=昭和25年12月28日時点)で存在していた路線の一覧を以下に掲載します。

地方費道

整理番号路線名
1札幌江差線
2札幌浦河線
3札幌根室線
4札幌稚内線
5旭川根室線
6旭川稚内線
7帯広浦河線
8帯広網走線
9稚内網走線
10網走釧路港線
11札幌岩内線
12札幌円山線
13札幌停車場線
14函館停車場線
15倶知安停車場線
16小樽停車場線 [注5]
17小樽港線
18旭川停車場線
19留萌停車場線
20留萌港線
21網走停車場線
22網走港線
23帯広停車場線
24釧路停車場線
25根室港線
26根室停車場線
27室蘭函館線
28松前函館線 [注5]
29札幌夕張線
30阿寒湖畔釧路線
31阿寒湖畔網走線
32江差瀬棚線
33江差松前線 [注5]
34札幌室蘭線
35室蘭浦河線
36滝川橋本線
37旭川留萌線
38帯広弟子屈線
39美幌弟子屈線
40旭川層雲峡線
41旭川帯広線
42帯広然別線
43根室飛行場線
44旭川吹上線
45戸井函館線
46浦河旭川線
47常呂津別線
48美幌川湯線
49千歳支笏湖線
50入舸余市線
51新得士幌線
52上川停車場線
53喜茂別倶知安線
54名寄紋別港線
56苫小牧停車場線
57名寄天塩港線
58弟子屈根室線

準地方費道

整理番号路線名
2札幌留萌線
4札幌篠路線
5札幌恵庭線
7札幌新篠津線
8石狩軽川停車場線
9厚田岩見沢停車場線
10浜益滝川停車場線
12函館椴法華線
13椴法華森港線
14函館大野線
15函館江差線
18江差岩内線
19江差久遠線
20江差太櫓線
21熊石八雲停車場線
22瀬棚国縫停車場線
23大野渡島大野停車場線 [注5]
24倶知安室蘭線
25寿都港蕨岱停車場線
26倶知安磯谷線
27大滝倶知安線 [注5]
28大滝伊達線 [注5]
29入舸岩内線
32倶知安入舸線
33倶知安赤井川線
34留寿都狩太停車場線 [注5]
35岩見沢長沼線
36岩見沢幌向線
38岩見沢三笠線 [注5]
39岩見沢北線
40岩見沢浦臼線
42岩見沢秩父別線
43深川和寒線
44深川停車場線
45旭川留萌線
46旭川当麻線
50旭川江丹別線
52富良野停車場線 [注5]
53留萌幌延線
54増毛港線
55稚内鬼脇線
56稚内沓形線
57沓形鬼脇線
58稚内船泊線
59枝幸港小頓別停車場線
61常呂留辺蘂線
62網走置戸線
63網走滝ノ上線
64北見停車場線 [注5]
66室蘭穂別線 [注5]
69浦河市父線
70浦河富川停車場線 [注5]
71浦河港線
72帯広本別線
74帯広池田線 [注5]
75広尾豊頃停車場線
76広尾港線
79釧路昆布森線
80釧路浜中線
81釧路足寄線
82根室歯舞線
83根室羅臼線 [注5]
84根室乳呑路線[注3]
85根室蘂取線[注3]
86標津厚岸港線 [注4]
87根室落石線
88札幌当別線
89函館亀田線
92岩見沢雨竜線
94函館鹿部線
95今金八雲線 [注5]
96カルルス登別停車場線
97稚内猿払線
98網走女満別線
100帯広鹿追線
101寿都停車場線
103旭川智恵文線
104追分停車場線
105芦別神居古潭線
106長沼江別線
107雄武美深線
108網走生田原線
109広尾幕別線 [注5]
111沓形港線
112紋別停車場線
113池田停車場線
114旭川温根別線
115士幌本別線
116石狩当別線
117雨竜深川線
118恵庭江別線
119恵庭栗山線 [注5]
120京極豊浦線 [注5]
121函館尾札部線
122釣懸青苗線
123上磯湯川線
124壮瞥虻田線
126丸瀬布紋別線
127滝ノ上瀬戸牛停車場線
128生田原下湧別線
129中標津厚床停車場線
131川湯斜里線
133根室色丹線[注3]
134鷹栖神楽線
135黒松内静狩線
136千歳由仁線
137穂別夕張線
138幕別芽室線
139幌加内士別線
140留萌天売線
142留辺蘂阿寒湖畔線
143新得帯広線
144幾春別岩見沢線
145紋別旭川線
146七飯療養所線
147豊頃大樹線
148赤井川余市停車場線
149岩内港蘭越停車場線
150洞爺豊浦停車場線
151厚真浜厚真停車場線
152幌泉襟裳線
153似峡士別停車場線
154旭川東神楽線
155旭中上富良野停車場線
156旭中富良野停車場線
157帯広別府線
158計根別西別線
159月形峯延停車場線
160天塩港雄信内停車場線
161北村美唄停車場線
162増毛港妹背牛停車場線
163留萌達布線
164茂尻砂川線
165美唄炭山美唄停車場線
166万字炭山岩見沢停車場線
167輪厚栗山線
168旭川松山線
169当麻比布線
170上渚滑丸瀬布線
171二股留辺蘂停車場線
172斜里美幌線
173宇登呂港斜里停車場線
174川湯弟子屈線
175釧路弟子屈線
176池田大津線
177網走東藻琴線
178手師学端野停車場線
179東瓜幕芽室線
180糠平帯広線
181上美生中札内停車場線
182上美生芽室停車場線
183中美生御影停車場線
184上毛根御影停車場線
185中札内上更別停車場線
186尾田上更別停車場線
187茶路白糠停車場線
188旭川和寒線
189愛別比布停車場線
190瑞穂東旭川停車場線
191秩父別妹背牛停車場線
192茨戸札幌線
193当別上幌向停車場線
194栗沢上幌向停車場線
195熱郛熱郛停車場線
196新琴似琴似線
197鵡川早来停車場線
198蕨岱倶知安線
199新十津川砂川停車場線
200士別苫前線

(筆者注)

注3
準地方費道根室乳呑路線、根室蘂取線、根室色丹線の3路線は北方領土に通じており、廃止日が不明となっています。
旧道路法から現行道路法への経過規定(道路法施行法第3条)では、旧道路法下で認定された路線を現行道路法に引き継ぐものとしていました。しかし、昭和33年に北海道土木部が発行した『北海道道路図』にはこれらの路線が掲載されていないため、少なくとも昭和32年頃までには何らかの形で廃止状態となったのではないかと考えられます。
注4
認定時の告示では「標津厚岸線」と記載されていますが、後年の資料および告示では一貫して「標津厚岸港線」と記載されています。当サイトでは認定時の告示の誤記と判断し、「標津厚岸港線」として取り扱います。
注5
これらの路線は廃止時に認定時とは異なる路線名になっています。認定時と廃止時の路線名の対応と、変更日は以下の表のとおりです。なお、表に記載しているすべての路線が昭和25年12月28日以前に路線名の変更を行っており、上記の路線網図および路線一覧にて変更後の路線名を記載しています。
整理
番号
認定時の路線名廃止時の路線名変更日S25.12.28
時点で反映済
地方費道
16小樽中央小樽停車場線小樽停車場線S25.11.7
28福山函館線松前函館線S25.11.7
33江差福山線江差松前線S25.11.7
準地方費道
23大野本郷停車場線大野渡島大野停車場線S25.11.7
27徳舜瞥倶知安線大滝倶知安線S25.11.7
28徳舜瞥伊達線大滝伊達線S25.11.7
34真狩狩太停車場線留寿都狩太停車場線S6.8.5
38岩見沢三笠山線岩見沢三笠線S25.11.7
52下富良野停車場線富良野停車場線S25.11.7
64野付牛停車場線北見停車場線S25.11.7
66室蘭似湾線室蘭穂別線S6.8.5
70浦河佐瑠太停車場線浦河富川停車場線S25.11.7
74帯広川合線帯広池田線S6.8.5
83根室植別線根室羅臼線S6.8.5
95利別八雲線今金八雲線S25.11.7
109広尾止若線広尾幕別線S25.11.7
119恵庭角田線恵庭栗山線S25.11.7
120東倶知安豊浦線京極豊浦線S25.11.7

参考文献


告示出典