昭和17年7月9日

この日の告示について

太平洋戦争開戦後初めてとなる地方費道・準地方費道の認定及び廃止が行われました。告示が掲載されている北海道庁公報の表紙には「大政翼賛」と大きく書かれ、政府発行の「写真週報」の広告が掲載されるなど、当時の状況が垣間見えます。なお、太平洋戦争中には昭和19年11月25日にも準地方費道の認定及び廃止が行われました。

この日は3本の地方費道と8本の準地方費道が認定され、同時に4本の準地方費道が廃止されました。地方費道の認定はこれが最後となり、その数は最大の58本になりました。


告示の条文

以下に告示の全文および表を掲載します。原文は縦書きで、整理番号はいずれの告示でも漢数字です。なお、表中の旧字体は新字体に修正しました(修正を施した旧字体と新字体の対応表は告示の後に掲載します)。

北海道庁告示第千百七十三号

地方費道並ニ準地方費道ノ路線ヲ左ノ通認定ス

昭和十七年七月九日

北海道庁長官坂 千秋

地方費道

番号路線名起点名終点名重要ナル経過地
五六苫小牧停車場線勇払郡苫小牧町元標苫小牧停車場
五七名寄天塩港線上川郡名寄町元標天塩郡天塩港天塩町、雄信内 [注1]
五八弟子屈根室線川上郡弟子屈村元標根室郡根室町元標別海村、標茶村 [注2]

準地方費道

番号路線名起点名終点名重要ナル経過地
一四〇留萌天売線留萌郡留萌町元標苫前郡天売村元標小平蘂村、鬼鹿村、苫前村、焼尻村
一四一小清水美幌線斜里郡小清水村元標網走郡美幌町元標東藻琴
一四二留辺蘂阿寒湖畔線常呂郡留辺蘂町元標阿寒郡阿寒村阿寒湖畔置戸村、小利別、淕別村、上足寄
一四三新得帯広線上川郡新得町元標帯広市元標芽室太、西士狩、木野
一四四幾春別岩見沢線空知郡三笠山村大字幾春別村字幾春別十七番地空知郡岩見沢町元標弥生、藤松、市来知
一四五紋別旭川線紋別郡紋別町元標旭川市元標渚滑村、上渚滑村、滝ノ上村
一四六七飯療養所線七飯停車場亀田郡七飯村七飯療養所七飯村
一四七豊頃大樹線中川郡豊頃村元標広尾郡大樹村元標長節、湧洞、生花苗、忠類

(筆者注)

注1
原文通りに「天塩町」と「雄信内」に分けて解釈するなら経過地の順番が逆です(雄信内→天塩町元標の順に通過)。「天塩町雄信内」として解釈するならば適切ですが、他路線での表記を見習えば「雄信内」だけで十分でしょう。
注2
経過地の順番が逆です。実際は標茶村→別海村の順に通過します。前身である準地方費道根室弟子屈線の経過地(中西別、虹別)の順番を参考にしてしまった可能性が考えられます。
  • この日に認定された地方費道はいずれの路線も既存の準地方費道を昇格させたものとなっています。

北海道庁告示第千百七十四号

準地方費道名寄停車場天塩港線、苫小牧停車場線、帯広新得線及根室弟子屈線ノ路線認定ハ之ヲ廃止ス

昭和十七年七月九日

北海道庁長官坂 千秋

(筆者注)

  • 準地方費道49号名寄停車場天塩港線、準地方費道67号苫小牧停車場線、準地方費道130号根室弟子屈線はそれぞれ同日認定の地方費道に重複するため廃止となりました。準地方費道73号帯広新得線は新得帯広線の認定に伴って廃止となりました。廃止時点での実延長区間のうち新得町中心部~終点(現在のJR根室本線広内信号場付近。参考: 地理院地図)は町道に引き継がれたものと考えられます。

北海道庁告示第千百七十五号

地方費道苫小牧停車場線外二線並ニ準地方費道留萌天売線外七線ノ道路及其ノ附属物ノ区域ヲ左ノ通定メ供用ヲ開始ス

昭和十七年七月九日

道路管理北海道庁長官坂 千秋

地方費道

番号路線名認定路線起点
終点
路線延長道路及附属物ノ区域他ノ道路ニ属スル区間延長認定前ノ路線名
起点箇所名道路橋梁渡船場延長計
終点箇所名延長巾員延長巾員延長
56苫小牧停車場線自 苫小牧町元標
至 苫小牧停車場
814.98m自 苫小牧町元標
至 苫小牧停車場
800.84m18.18m---800.84m国道二十八号線
苫小牧町元標地先
14m14
準地方費道苫小牧停車場線
814.98800.84----800.8414.14
57名寄天塩港線自 名寄町元標
至 天塩郡天塩港
129,944.30自 常盤村地方費道旭川稚内線分岐点
至 天塩町地方費道札幌稚内線接合点
71,785.0010.91-
21.82
793.682.27-
5.50
781.8273,360.50地方費道旭川稚内線
自 名寄町元標
至 常盤村音威子府
56,066m70

地方費道札幌稚内線
自 天塩町市街山手裏通三丁目
至 同海岸通四丁目
444m38
準地方費道名寄停車場天塩港線
自 天塩町地方費道札幌稚内線分岐点
至 天塩町天塩港
72.729.09---72.72
129,944.3071,857.72-793.68-781.8273,433.2256,511.08
58弟子屈根室線自 弟子屈村元標
至 根室町元標
117,479.84自 弟子屈村地方費道網走釧路港線分岐点
至 標茶村虹別駅逓用地先
17,312.8014.5413.004.00-17,325.80地方費道網走釧路港線
自 弟子屈村元標
至 弟子屈村弟子屈原野
2,694m93

地方費道旭川根室線
自 別海村大字厚別村字奥行臼
至 和田村大字厚床村字厚床南一線
9,111m89

地方費道札幌根室線
自 同
至 根室町元標
34,101m66
準地方費道根室弟子屈線
自 同
至 標茶村字虹別原野北104番地先
812.6510.91-
14.54
20.435.50-833.08準地方費道標津厚岸港線
自 標茶村字虹別原野北104番地先
至 別海村大字別海村字西別
40,307.7610.91-
14.54
74.004.00-40,381.76準地方費道根室弟子屈線
自 同
至 別海村大字厚別村字奥行臼
12,932.7210.91-
14.54
98.004.00-13,030.72準地方費道中標津厚床停車場線 [注3]
117,479.8471,365.93-205.43--71,571.3645,908m48
合計248,239.12144,024.49-999.11-781.82145,805.42102,433m70

準地方費道

番号路線名認定路線起点
終点
路線延長道路及附属物ノ区域他ノ道路ニ属スル区間延長認定前ノ路線名
起点箇所名道路橋梁渡船場延長計
終点箇所名延長巾員延長巾員延長
140留萌天売線自 留萌町元標
至 天売村元標
52,423.91m自 苫前村字苫前
至 同埠頭
100.00m14.00m---100.00m地方費道札幌稚内線
自 留萌町元標
至 苫前村分岐点
46,355m91
自 焼尻村字東浜
至 同字西浦
4,094.007.27-
21.72
---4,094.00焼尻村町村道焼尻灯台ヤオト間道路
自 天売村字弁天船入澗
至 同字和浦
1,874.009.09---1,874.00天売村町村道ゴメ崎ワッカウシホロ間道路
52,423.916,068.00----6,068.0046,355m91
141小清水美幌線自 小清水村元標
至 美幌町元標
41,368.66自 小清水村地方費道網走釧路港線分岐点
至 小清水網走町村界
6,537.9014.546.753.10-6,544.65地方費道網走釧路港線
自 小清水村元標
至 同字止別原野九号
759m34

地方費道美幌弟子屈線
自 美幌町ビホロ原野東五号
至 美幌町元標
5,066m32
小清水村町村道藻琴小清水間道路
自 同
至 網走町モコト原野基線
13,343.6814.54-
21.82
41.773.10-
3.42
-13,385.45網走町町村道同
自 同
至 網走女満別町村界
3,259.6414.54-
21.82
4.003.42-3,263.64網走町町村道モコト美幌間道路
自 同
至 女満別美幌町村界
5,953.8514.54-
21.82
11.63.40-
3.70
-5,965.45女満別村町村道同
自 同
至 美幌町地方費道美幌弟子屈線分岐点
6,357.6114.5426.203.27-
4.00
-6,383.81美幌町町村道同
41,368.6635,452.68-90.32--35,543.005,825m66
142留辺蘂阿寒湖畔線自 留辺蘂町元標
至 阿寒村阿寒湖畔
108,793.80自 留辺蘂町準地方費道網走生田原線分岐点
至 留辺蘂置戸町村界
2,664.427.27-
10.91
8.303.00-2,672.72準地方費道網走生田原線
自 留辺蘂町元標
至 同町栄町東一丁目
1,400m36

準地方費道網走置戸線
自 置戸村字オケトウンナイ原野十一号
至 置戸村元標
1,462m52

地方費道帯広網走線
自 淕別村市街
至 同元標
363m79

地方費道帯広弟子屈線 [注4]
自 足寄村字上足寄
至 阿寒村字尻駒別
26,024m79
地方費道阿寒湖畔網走線
自 阿寒村字尻駒別
至 阿寒湖畔
6,410m83
留辺蘂町町村道一号道路
自 同
至 置戸村字オケトウンナイ原野三号
3,532.7210.91---3,532.72置戸村町村道留辺蘂訓子府間道路
自 同
至 置戸村準地方費道網走置戸線接合点
8,361.6510.91-
25.45
24.353.00-8,386.00同置戸秋田間道路
自 置戸村元標
至 置戸村字オケトウンナイ原野十六号
1,377.0010.91-
18.18
---1,377.00同置戸仁居常呂原野間道路
自 同
至 置戸淕別村界
9,042.2014.54-
27.27
83.803.00-
4.00
-9,126.00同置戸小利別間道路
自 同
至 淕別村字小利別
6,235.0015.54-
21.82
31.003.00-6,266.00淕別村町村道同
自 同
至 淕別村字クンネベツ
9,351.9010.9119.002.90-9,370.90同小利別クンネベツ間道路
自 同
至 淕別村地方費道帯広網走線接合点
9,096.2610.9149.203.00-9,145.46同クンネベツ淕別間道路
自 淕別村元標
至 淕別足寄村界
8,140.5410.91-
18.18
102.004.00-8,242.54同上足寄淕別間道路
自 同
至 足寄村字上足寄三九線
5,861.2710.91-
18.18
---5,861.27足寄村町村道淕別上足寄間道路
自 同
至 足寄村地方費道帯広弟子屈線接合点
9,125.7010.91-
21.82
25.202.20-
3.00
-9,150.90同足寄街道
108,793.8072,788.66-342.85--73,131.5135,662m29
143新得帯広線自 新得町元標
至 帯広市元標
49,159.38自 新得町元標
至 新得町地方費道札幌根室線分岐点
56.7710.91---56.77地方費道札幌根室線
自 新得町市街
至 新得町字シントク
824m32

地方費道新得士幌線
自 新得町字シントク
至 清水町字熊牛
9,583m45

地方費道帯広網走線
自 音更村字下音更
至 帯広市石狩通三丁目
2,341m67

地方費道札幌根室線
帯広市元標地先
11m00
準地方費道帯広新得線
自 清水町字熊牛二十八号
至 同九号
10,411.1810.9115.553.00-
4.00
-10,426.73清水町町村道十勝川沿道路
自 同
至 清水芽室町村界
5,270.7210.91---5,270.72同松沢道路
自 同
至 芽室町字然別原野北四線十五号
11,831.9610.9133.503.00-
3.40
-11,865.46芽室町町村道西士狩美蔓間道路
自 同
至 音更芽室町村界
3,779.3310.9164.303.00-
4.00
-3,843.63同然別原野道路
自 同
至 音更村字下音更北四線
4,878.3314.54-
10.91
57.303.00-
3.20
-4,935.63音更村町村道下音更北五線道路
49,159.3836,228.29-170.65--36,398.9412,760m44
144幾春別岩見沢線自 三笠山村大字幾春別村字幾春別一七
至 岩見沢町元標
19,916.11自 三笠山村大字幾春別村字幾春別
至 同村大字市来知村準地方費道岩見沢三笠山線接合点
8,119.1010.91-
25.00
119.103.00-
9.00
-8,238.20準地方費道岩見沢三笠山線
自 三笠山村大字市来知
至 同村字円山国道二十七号線接合点
6,754m25

国道二十七号線
自 三笠山村字円山
至 岩見沢町四条東一丁目
4,664m19

準地方費道岩見沢長沼線
自 岩見沢町四条東一丁目
至 同町元標
259m47
三笠山村町村道幾春別線
19,916.118,119.10-119.10--8,238.2011,677m91
145紋別旭川線自 紋別町元標
至 旭川市元標
154,539.42自 滝ノ上村元標
至 同上川村界
44,363.1210.91-
36.36
334.453.00-
4.00
-44,697.57地方費道稚内網走線
自 紋別町元標
至 渚滑村元標
4,465m52

準地方費道網走滝ノ上線
自 渚滑村元標
至 滝ノ上村
34,946m91

地方費道旭川根室線
自 上川村字中越
至 旭川市元標
62,615m36
滝ノ上町村道滝ノ上原野道路
自 同
至 上川村字中越地方費道旭川根室線接合点
7,798.0620.0016.004.00-7,814.06上川村町村道中越滝ノ上間道路
154,539.4252,161.18-350.45--52,511.63102,027m79
146七飯療養所線自 七飯停車場
至 七飯村七飯療養所
2,227.64自 七飯停車場
至 七飯村国道四号線接合点
577.0010.91---577.00国道四号線
七飯村地内
489m73
七飯村町村道七飯停車場道路
自 七飯村国道四号線分岐点
至 七飯療養所
1,156.919.094.003.00-1,160.91七飯村町村道鳴川道路
2,227.641,733.91-4.00--1,737.91489m73
147豊頃大樹線自 豊頃村元標
至 大樹村元標
71,074.23自 大津村地方費道札幌根室線分岐点
至 大津村市街
405.4921.72---405.49地方費道札幌根室線
自 豊頃村元標
至 大津村分岐点
19,078m24

準地方費道広尾豊頃停車場線
自 大津村字湧洞
至 同字生花苗
8,639m58

準地方費道広尾止若線
自 大樹村字忠類
至 大樹村元標地先
8,245m92

地方費道帯広浦河線
大樹村元標地先
13m64
大津村町村道旧南海岸線道路
自 同
至 大津村
2,400.0010.91-
27.27
---2,400.00同大津広尾海岸道路
自 同
至 大津村字湧洞準地方費道広尾豊頃停車場線接合点
14,554.7310.9138.902.30-
3.10
-14,593.63同長節湧洞間道路
自 大津村字生花苗準地方費道広尾豊頃停車場線分岐点
至 大津村字生花苗基線十八号
3,553.6010.9146.402.90-
3.80
-3,600.00同生花苗道路
自 同
大津村大樹村界 [注5]
6,197.7016.00-
24.00
113.304.00-6,311.00同湧洞生花苗道路
自 同
至 大樹村大字当縁村字上当縁
5,289.7016.00-
20.00
44.304.00-5,334.00大樹村町村道忠類生花苗間道路
自 同
至 大樹村字忠類準地方費道広尾止若線接合点
2,432.9310.9119.803.00-
4.00
-2,452.73同忠類下当縁間道路
71,074.2334,834.15-262.70--35,096.8535,977m38
合計499,503.15247,385.97-1,340.07--248,726.04250,777m11

(筆者注)

注3
原文では「中標津厚岸港線」の誤記。
注4
原文では「網走弟子屈線」の誤記。
注5
「大津村大樹村界」は現在の大樹町生花と幕別町忠類幌内との境界を指しています。豊頃大樹線認定時の生花苗(現: 生花)は大津村(昭和30年4月に浦幌町、豊頃村(現: 豊頃町)、大樹町の3町村へ分割編入)に属しており、忠類村が大樹村(現: 大樹町)から分立したのは昭和24年8月でした。
  • 原文は縦書きで、数字は全て漢数字です。また、延長および幅員の数値における単位の表記は最初の欄にだけ表記されており、桁区切りと小数点の両方で読点(、)が使われています。
    本ページでは番号欄及び地番、延長、幅員の数値部分を算用数字に改め、桁区切りはカンマ(,)、小数点はピリオド(.)で、それぞれ置き換えました。また、これらの数値の単位はすべてメートル(m、原文では「米」)です。

修正対象の旧字体一覧

上記告示中で修正対象とした旧字体と、修正後の新字体との対応をまとめた表です。

修正対象の旧字体一覧
PDFで見る(新規タブ)

各路線の詳細

※注意:この節には筆者の推測をもとに書かれている部分があります。ご了承ください。

「現行路線」は、現行の国道及び道道のうち当時のルート上に存在するもの(路線番号は現行のもの)を、「廃止後引継路線」は廃止された地方費道及び準地方費道の後を引き継ぐ形で認定された路線(そのうち廃止と同時に認定された路線は太字、路線番号はいずれも認定当初のもの)を掲載します。

地方費道56号 苫小牧停車場線

苫小牧町(現: 苫小牧市)道路元標を起点とし、苫小牧駅前を終点とする路線でした。前身の準地方費道67号苫小牧停車場線をそのまま昇格させたものとなっています。昭和29年1月20日に全線が主要地方道に指定され、同年3月30日の告示で廃止されました。

なお、後継の道道苫小牧停車場線は昭和55年にルート変更がありました。詳しい経緯は「道道資料北海道」の記事をご覧ください。

地方費道57号 名寄天塩港線

名寄町(現: 名寄市)道路元標を起点とし、現在のR40のルートで天塩町雄信内へ、現在のr256・r855・r551のルートで天塩町中心部へ向かい、天塩港を終点とする路線でした。前身の準地方費道49号名寄停車場天塩港線をほぼそのまま昇格させたものとなっています(地方費道6号旭川稚内線に重複する名寄駅前~名寄町道路元標は引き継がれませんでした)。

ほぼ全線が一級国道40号(現: R40)に引き継がれましたが、天塩港に至る区間の処遇を決めかねたのか廃止は昭和32年7月25日まで先延ばしにされました(結局この区間は後継路線が認定されませんでした)。なお、後継のR40は認定当初天塩町雄信内~下サロベツ間で中心部経由のルートを通っていました。現在のルートに一本化されたのは昭和41(1966)年のことです。

地方費道58号 弟子屈根室線

弟子屈村(現: 弟子屈町)道路元標を起点とし、現在のR243のルートで根室町(現: 根室市)道路元標に向かう路線でした。前身の準地方費道130号根室弟子屈線の起終点を入れ替えて昇格させたものとなっています。

全線が二級国道網走根室線(現: R243)に昇格し、昭和29年3月30日に廃止されました。なお、廃止時の告示では「根室弟子屈線」と記載されていますが、路線名の変更を行った告示は発見できていません。資料によって路線名がまちまちで、誤記かどうかを断定するには至っていません(参考: 廃止告示のページの注35)。

準地方費道140号 留萌天売線

留萌町(現: 留萌市)道路元標を起点とし、天売島の天売村(現: 羽幌町の一部)道路元標を終点とする路線でした。2つの海上区間により3つの区間に分けられます。1. 現在のR232のルートで留萌町道路元標から苫前村(現: 苫前町)に向かい、分岐して港に至るまでの区間。2. 焼尻島の東浜(現在の焼尻郵便局付近)から島の北海岸に沿って西浦までの区間。3. 天売島の弁天(現在のフェリーターミナル付近)から和浦の天売村道路元標までの区間。現在フェリーが就航している羽幌からではなく、苫前から海を渡っている点に注意が必要です。

昭和25年3月14日に路線変更の告示が行われ、天売島内の区間がアイカケ(現: 相影)まで延伸されました。天売島内の区間は昭和32年7月25日に道道に引き継がれましたが、焼尻島内では島を一周するr166焼尻島線が同年3月30日に認定されているため単なる引継ではありませんでした。なお、現在の道道548号天売島線は昭和41(1966)年3月31日に認定された別の路線で、島を一周するようになりました。

準地方費道141号 小清水美幌線

小清水村(現: 小清水町)道路元標を起点とし、現在のR334に近いルートで美幌町道路元標に向かう路線でした。後に準地方費道172号斜里美幌線が認定されたため昭和22年8月25日に廃止されました。

昭和15(1940)年に海軍の(第一)美幌航空基地(現在の陸上自衛隊美幌駐屯地)が開設され、後に小清水村内にも第三美幌航空基地が建設されたため、それらを結ぶ道路としての側面もあったのではないかと考えられます。なお、第二美幌航空基地は後の女満別空港です。

準地方費道142号 留辺蘂阿寒湖畔線

留辺蘂町(現: 北見市の一部)道路元標を起点とし、現在のR242のルートで淕別村(現: 陸別町)に向かい、現在のr143北見白糠線のルートで上足寄へ、その先は現在のR241のルートで阿寒湖畔に向かう路線でした。

昭和29年1月20日に留辺蘂~陸別間が主要地方道に指定されたことに伴って、同年3月30日の告示で廃止されました。主要地方道に指定されなかった区間は一般道道陸別上足寄線に引き継がれました。

準地方費道143号 新得帯広線

新得町道路元標を起点とし、現在のr75帯広新得線のルートとほぼ同じルートで帯広市道路元標に向かう路線でした。昭和32年7月25日に廃止され、同名の道道に引き継がれました。

沿線の音更町内には陸軍の帯広第二飛行場があったため、そのアクセス道路としての側面もあったのではないかと考えられます。

準地方費道144号 幾春別岩見沢線

三笠山村大字幾春別村(現: 三笠市幾春別)を起点とし、三笠山村中心部を経由して岩見沢町(現: 岩見沢市)道路元標に向かう路線でした。三笠山村中心部(現在の多賀町交差点付近)から岩見沢町道路元標までは準地方費道38号岩見沢三笠山線に重複しており、実質的には幾春別と中心部を結ぶ路線でした。昭和32年7月25日に廃止され、実延長区間が道道幾春別三笠線に引き継がれました。

幾春別には炭鉱があったため、そのアクセス強化を目的とした認定でしょう。なお、現在の道道のルートとは異なり、弥生~清住間では唐松駅前を通っていたようです。

準地方費道145号 紋別旭川線

紋別町(現: 紋別市)道路元標を起点とし、渚滑村(現: 紋別市渚滑町)、滝ノ上村(現: 滝上町)道路元標を経由して浮島峠を越え、上川村(現: 上川町)中越から地方費道5号旭川根室線に重複して旭川市道路元標に向かう路線でした。渚滑村から滝ノ上村までは準地方費道63号網走滝ノ上線に重複しており、実質的には滝上と中越を結ぶ路線でした。昭和29年1月20日に一部区間が主要地方道に指定され、同年3月30日の告示で廃止されました。この時認定された道道紋別上川線は現在のR273の一部となっています。

滝ノ上市街地から渚滑川上流方面へ森林鉄道が伸びており、その補完となりうる路線でした。鉄道敷設法では並行する「石狩国ルベシベヨリ北見国滝ノ上ニ至ル鉄道」が先に計画されていましたが、石北線(現: 石北本線)中越~白滝間の開業により建設意義が薄れ全線未着手に終わりました。

準地方費道146号 七飯療養所線

七飯村(現: 七飯町)の七飯駅前を起点とし、七飯療養所に向かう路線でした。昭和32年7月25日に廃止されたのですが、路線名と起終点をそのままにr190七飯療養所線が認定されました。道道七飯療養所線は、停車場を起点としながらも終点が国道路線・道道路線・観光地のいずれにも該当しない特異な路線です(函館新道開通後は実質的に停車場~国道の5号路線型として機能していますが)。

七飯療養所は傷痍軍人療養所として昭和15(1940)年に開所しており、これも軍事色の強い路線といえるでしょう。七飯療養所は終戦後に国立療養所北海道第一病院となりましたが、国立函館病院との統廃合に伴ってななえ新病院として新たに開院しました。

準地方費道147号 豊頃大樹線

豊頃村(現: 豊頃町)道路元標を起点とし、現在のr320およびr911のルートで大津へ、現在のr912およびR336のルートで生花苗(現: 生花)へ、現在のr319のルートで忠類へ向かい、そこから先は現在のR236のルートで大樹村(現: 大樹町)道路元標へ向かう路線でした。豊頃~大津は当初地方費道3号札幌根室線との重複区間でしたが、昭和25年3月14日に札幌根室線のルートが変更されたため後に単独区間となっています。

生花苗~忠類間を引き継いだ道道生花苗大樹線の認定が遅れたため、廃止は昭和32年10月1日でした。


告示出典