国道229号 区間4-C

茂津多トンネルを抜けるとせたな町のカントリーサインが設置されている。また、ここを右折すると茂津多岬灯台へ至る道路へ入っていくことができる。

茂津多岬灯台は海面から塔頂までの高さが290mで日本一となっている(海面から灯火までの高さは282m)。海面から灯火までの高さの日本一は、兵庫県の余部埼(あまるべさき)灯台の284m。

※マウスオーバー/赤枠内タップでカントリーサインの写真を表示します。

茂津多トンネルのせたな側坑口からしばらくの間は、須築(すっき)川の谷に沿った道路となっている。この付近は海岸線に沿ったトンネルを掘削すると3kmを超えるトンネル・覆道が必要な地形となっており、比較的緩やかな須築川があるおかげでトンネルの長さを抑えることができたのだろう。

仮に海岸線に沿ったルートで開通していたとしても、より安全な内陸のルートへ付け替えられることは避けられなかっただろう。

トンネルを出て1kmほどで早くもせたな町側最初の集落に到着する。

↑(229)八雲(旧熊石)65km、北檜山23km

須築の集落には漁港のほか旅館もある。せたな町内に入ったので、標識には役場所在地である北檜山までの距離が表示されるようになった。

せたな町で最初に通るのは、かつて瀬棚町であった瀬棚区。最も険しい区間は終わったが、瀬棚区の中心部までは依然として険しい地形が続く。

トンネルカウンター: 46

須築の集落からそう遠くない箇所でトンネル連続区間となる。1本目は弁天トンネル(L=48.0m)。R229の現役トンネルの中では最も短く、トンネルの先を容易に見通せるほどだ。

延長が非常に短いだけではなく、幅員もかなり狭い。全幅6m・車道幅員5.5mはかつて存在していた狭小トンネルと変わらない水準である。

トンネルカウンター: 47

少し距離を開けて2本目は藻岩トンネル(L=71.0m)。このトンネルも全幅が6mと狭く、延長がかなり短いことが救いだ。

トンネルカウンター: 48

藻岩トンネルから間髪入れずに3本目の須築(すっき)トンネル(L=596.0m)へ入っていく。こちらのトンネルも同様の幅員だが坑口はかなり重厚なデザインとなっている。

須築トンネルの竣工は1968(昭和43)年で、ここまでの3本の中では最も古い。

須築トンネルを抜けると左手に藻岩の滝があるようだが写真には写っていない。

トンネルカウンター: 49

4本目は1994(平成6)年竣工の横滝トンネル(L=660.0m)で、このトンネルは歩道がやや広く走りやすい。

先代のトンネルはこれまでの3本のトンネルとほぼ同時期の竣工で、旧道には海岸沿いの急カーブが複数あったことが航空写真から確認できる。

横滝トンネルを抜けると美谷の集落へと入っていく。

美谷地区には島歌郵便局があるが、それほど大きな集落ではない(郵便局自体は左側に見切れている)。

トンネルカウンター: 50

集落を過ぎると美谷(びや)トンネル(L=400.0m)へと入っていく。走行時点では新トンネルの建設が進んでいた。

(2024/7/28追記)
走行当時に建設中であった新美谷トンネル(L=917m)は、2020(令和2)年2月に開通した。美谷トンネルは美谷漁港へのアクセス道路として残されたが、旧々道のトンネルを岩盤ごと切り崩して新たなアクセス道路が建設されている。

トンネルの先に漁港があるためトンネル内には歩道が整備されていて幅員も決して狭くない。しかし、トンネルを抜けた先には崩落の恐れがある岩盤が構えており、これを回避するために新トンネルが建設された。

↑(229)八雲(旧熊石)59km、北檜山18km

切通しとなっている場所もあり地形の険しさは相変わらずだ。

少し進むとナホ泊覆道を通る。

覆道の後に少しだけ上り勾配があり、その後下り勾配で再び海岸沿いに戻る。坂の頂上辺りが新トンネルを含む新ルートとの合流地点となった。

ここでは長めの擁壁に交通安全を呼びかける標語が書かれている。

事故死ゼロ　広げよう　交通安全　せたなから
速度注意　ゆとりのこころで　エコ運転を
せたな町交通安全推進委員会

しばらく進むと吹込漁港の近くで島歌覆道を通る。

島歌覆道を過ぎて少し進むと200KPが設置されている。

200KPを過ぎると再び険しい地形が待ち構えている。正面に見えているのは地形図で「クズレ」と書かれている崖で、頂上の標高は128mにも及ぶ。現道のトンネルは内陸寄りにあるが、海岸沿いに旧道の素掘りトンネルが残されている。

トンネルカウンター: 51

少し内陸寄りに向きを変えて虻羅(あぶら)トンネル(L=1,065.0m)へ入っていく。

虻羅トンネルは全幅8m・車道幅員6mと決して狭くないのだが、茂津多トンネルと違い照明が古いままなのでかなりの走りにくさを感じる。また、トンネル内壁にはやはりキロポストが設置されており、小樽基点の228KPとなっている。

※マウスオーバー/赤枠内タップでキロポストの写真を表示します。

トンネルを抜けて元浦地区へと入っていく。ここからはカーブが多くなるもののトンネルはしばらく現れない。

稲荷岬付近は改良されており、斜面から距離を取りカーブも緩くなっている。

↑(229)八雲(旧熊石)54km、北檜山12km

北檜山までの距離は順調に減っており、瀬棚区の中心部までは6kmほどとなった。

実はこのあたりで既に18時半を過ぎており、疲れもあって撮影枚数が減っている。

トンネルカウンター: 52

瀬棚区の中心部を目前にして三杉(みすぎ)トンネル(L=65.0m)を通過する。両側に歩道があるかなり広いトンネルだ。

トンネルを抜けると馬場川を瀬棚橋で渡る。右折方向が瀬棚港と案内されているが、これは漁港へのアクセス道路であり、港へのメインルートはもう少し先にある。

瀬棚区中心部の交差点でr447西大里瀬棚停車場線(左折方向)と交差する。r447とはこの先少しの間重複する。

交差点を右折すると瀬棚港のフェリーターミナルに至る。瀬棚港からは奥尻島へ向かうフェリーが夏季のみ就航していたが、2019(平成31)年3月をもって休止となり、現在は定期航路が存在しない。

信号のない交差点でr447が右へ分岐する。瀬棚駅は1987(昭和62)年3月に廃止されており、北海道ではよくある廃駅へ通じる道道となっている。

なお、漁港に通じるr459瀬棚港線は、瀬棚駅跡を終点としている。認定時は国道交点を終点としていたようなので、ルートが変わったようだ。

市街地を過ぎるとr783東大里瀬棚停車場線と交差する。この路線も瀬棚駅に通じているためこの交差点までは国道に重複している。

↑(229)八雲(旧熊石)47km、北檜山5km

瀬棚区の中心部を過ぎると北檜山までの距離は5kmとなる。これだけ近い距離なので、国鉄瀬棚線は瀬棚駅と北檜山駅が隣同士の駅であった。

しばらく進むと北檜山区豊岡に入る。

瀬棚区の中心部で19時を迎えており、いくら日が長い期間とはいえ撮影に向かない暗さとなっている。とはいえそう簡単に再撮影の機会を作り出せるわけでもないため限界まで補正をかけて撮影している。

北檜山区の市街地を前にしてr740北檜山大成線と交差する。r740は海岸沿いを南下する道道で、同じ区間で内陸を通っているR229とは対照的な路線である。

r740が通る尾花岬付近は、茂津多岬に勝るとも劣らない険しい地形となっており、太田トンネル(L=3,360m、道道のトンネルとしては最長)を含む区間が開通して全通したのは2013(平成25)年のことであった。

市街地に入った直後で真駒内川を真駒内橋で渡る。

中心部でr345矢淵東瀬棚停車場線と交差する。東瀬棚駅は1966(昭和41)年に改称して北檜山駅となっている。

この日は撮影上の限界を迎えたのでここでホテルへ直行した。

市街地にやや急な左カーブがある。

ここからは翌日の撮影となる。写真から怪しい雲行きを感じ取っていただけるかと思う。

カーブの後、R230との三叉路に到着する。R229は右斜め前へ進んでいく。

左折のR230は札幌から中山峠、洞爺湖、長万部を経由して北檜山に至る全長210kmの路線で、北檜山と道央道・R5を結ぶメインルートとなっている。