国道229号 目次

路線概要

北海道日本海沿岸部のうち、南側を走る国道。起点の小樽市から終点の檜山郡江差町までのほぼ全線に渡って海岸に沿って走行する。当初のルートは積丹郡積丹町を経由せず、古平郡古平町からトーマル峠を経由して古宇郡神恵内村に至っていたが、1982(昭和57)年4月1日に現在のルートに切り替えられ、1996(平成8)年に積丹町沼前~神恵内村川白の区間が開通して全線が開通した。

日本海沿岸の険しい地形のために、トンネルが非常に多い路線として知られる。単独区間の2割弱がトンネル内で、その本数は実に61本と、全国トップクラスのトンネル国道である。以前は大型車同士のすれ違いが困難な狭小トンネルも多かったが、近年では新トンネルの整備が進み走りやすくなった。

地形が険しいということは災害のリスクも高いということで、実際に何度も痛ましい事故が起きている。1962(昭和37)年には爾志郡乙部村(現: 乙部町)豊浜で死者行方不明者合わせて14名の土砂災害が、1996(平成8)年には古平郡古平町の豊浜トンネルで死者20名の崩落事故が起きている。他にも、1997(平成9)年に第2白糸トンネルが崩落、2004(平成16)年に台風18号の影響で大森大橋が落橋、2021(令和3)年には乙部町内の館の岬トンネル付近で大規模な土砂崩落が起こるなど、人的被害こそなかったが長期の通行止めとなった災害が発生している。

現在のR229に狭小トンネルがほとんど残っていないのは、単なる改良工事だけではなく、災害のリスクをできるだけ低減するようなルートに切り替えられたためなのである。

種別一般国道
路線番号229
旧路線名二級国道小樽江差線
起点北海道小樽市
終点北海道檜山郡江差町
通過市町村北海道小樽市→余市郡余市町→古平郡古平町→積丹郡積丹町→古宇郡神恵内村→泊村→岩内郡共和町→岩内町→磯谷郡蘭越町→寿都郡寿都町→黒松内町→寿都町→島牧郡島牧村→久遠郡せたな町→二海郡八雲町→爾志郡乙部町→檜山郡江差町
指定日1953年5月18日(政令施行日)
総延長305.9km(旧道延長1.7kmおよび迂回区間延長15.4kmを除く)
実延長286.3km(同上)
重用延長19.6km
トンネル部64本(統計上)、51.9km、18.1%
橋梁部223本、6.3km、2.2%

※総延長等のデータはいずれも2022/3/31現在の道路統計年報2023による。

歴史(路線史)

1920(大正9)年4月1日
同日付の北海道庁告示第241号により、準地方費道32号倶知安入舸線、準地方費道29号入舸岩内線、準地方費道18号江差岩内線が認定される。
1935(昭和10)年5月23日
同日付の北海道庁告示第777号により、地方費道32号江差瀬棚線が認定される。
1938(昭和13)年9月28日
同日付の北海道庁告示第1234号により、地方費道50号入舸余市線が認定される。
1953(昭和28)年5月18日
同日付の政令第96号により、二級国道小樽江差線(229号、小樽市~檜山郡江差町)が指定される。当時はトーマル峠経由。準地方費道18号江差岩内線、地方費道32号江差瀬棚線は1954(昭和29)年3月30日付の北海道告示第505号により廃止。
1957(昭和32)年7月25日
同日付の北海道告示第1487号により、道道192号神恵内入舸古平線が認定される。地方費道50号入舸余市線、準地方費道29号入舸岩内線は同日付の北海道告示第1488号により廃止。
1957(昭和32)年10月1日
同日付の北海道告示第1622号により、道道193号野塚美国線が認定される。準地方費道32号倶知安入舸線は同日付の北海道告示第1623号により廃止。
1976(昭和51)年8月31日
同日付の北海道告示第3075号により、道道896号古平神恵内線(主要地方道)が認定される。道道192号神恵内入舸古平線、193号野塚美国線は同日付の北海道告示第3076号により廃止。
1976(昭和51)年11月6日
島牧郡島牧村栄浜~瀬棚郡瀬棚町須築間が開通し、全線開通
1982(昭和57)年3月1日
同日付の北海道告示第325号により、道道896号古平神恵内線の路線名が古平積丹神恵内線に変更される。
1982(昭和57)年3月29日
同日付の北海道告示第574号により、道道998号古平神恵内線が認定される。トーマル峠経由で、認定時点では全線が国道に重複。
1982(昭和57)年4月1日
1981(昭和56)年4月30日付の政令第153号の施行により、古平郡古平町~古宇郡神恵内村間の経路がトーマル峠経由から神威岬経由となる。この時点では積丹郡積丹町沼前~古宇郡神恵内村川白間は未開通。トーマル峠経由の経路は事前に認定された道道998号古平神恵内線に引き継がれる。道道896号古平積丹神恵内線は同年9月30日廃止(同年10月12日付の北海道告示第2070号による)。
1996(平成8)年11月1日
積丹郡積丹町沼前~古宇郡神恵内村川白間が開通し、改めて全線開通

歴史(災害史)

1962(昭和37)年10月17日
爾志郡乙部村(現: 乙部町)豊浜で土石流が発生し、走行中の路線バスが巻き込まれた。死者・行方不明者合わせて14名。後に事故現場の内陸側を短絡する豊浜トンネルが開通。
1996(平成8)年2月10日
古平郡古平町沖町の豊浜トンネル終点側坑口付近で岩盤崩落が発生し、走行中の路線バスと乗用車が巻き込まれた。死者20名。仮復旧の後、豊浜トンネルからセタカムイトンネルに合流する新トンネル(豊浜トンネル)を建設して本復旧。
1997(平成9)年8月25日
島牧郡島牧村栄浜の第2白糸トンネル終点側坑口付近で岩盤崩落が発生。人的被害なし。第1白糸トンネル・第2白糸トンネルを迂回する白糸トンネルを新たに建設して復旧。
2004(平成16)年9月8日
古宇郡神恵内村大字赤石村の大森大橋が、台風18号によって引き起こされた高波で一部流失。事前に通行止めとなっていたため人的被害なし。流失箇所に仮橋が架けられた後、ウエンチクナイトンネルから分岐する新トンネル(大森トンネル)を建設して本復旧。
2021(令和3)年6月6日
爾志郡乙部町館浦で岩盤崩落が発生。人的被害なし。トンネル2本と橋梁1本による別線ルートでの復旧が行われており、2024(令和6)年に本体工事へ着手。

レポート区間

区間区間起点区間終点走行日区間
距離
区間1-A余市郡余市町黒川町4(R5交点、実延長上の起点)~積丹郡積丹町美国町(r568交点)2016/5/2223.1km
区間1-B積丹郡積丹町美国町~積丹郡積丹町神岬町(神威岬入口)2016/5/2224.1km
区間2-A積丹郡積丹町神岬町~古宇郡神恵内村神恵内村(r998交点)2016/5/2225.4km
区間2-B古宇郡神恵内村神恵内村~岩内郡岩内町大浜(R276交点)2016/5/2223.2km
区間3-A岩内郡岩内町大浜~磯谷郡蘭越町港町(r267交点)2017/7/29
2017/9/16
18.6km
区間3-B磯谷郡蘭越町港町~寿都郡黒松内町北作開(r9南側交点)2017/9/1615.9km
区間4-A寿都郡黒松内町北作開~島牧郡島牧村泊(役場前)2017/9/16
2017/7/15
32.0km
区間4-B島牧郡島牧村泊~茂津多岬(島牧村・せたな町境界)2017/7/1523.8km
区間4-C茂津多岬~久遠郡せたな町北檜山区北檜山(R230交点)2017/7/15
2017/7/16
25.6km
区間5-A久遠郡せたな町北檜山区北檜山~久遠郡せたな町大成区宮野
(r740南側交点)
2017/7/1625.0km
区間5-B久遠郡せたな町大成区宮野~二海郡八雲町熊石鮎川町(R277交点)2017/7/1619.9km
区間5-C二海郡八雲町熊石鮎川町~檜山郡江差町柳崎町(R227交点、終点)2017/7/1628.2km
おまけ檜山郡江差町柳崎町~檜山郡江差町中歌町(R227・R228終点)2017/7/166.5km

※区間は筆者が勝手に定めたもの。各区間の距離は地図上で計測しているため、その合計が総延長及び実延長のいずれかに一致するとは限らない。