国道229号 区間5-C

↑(229)江差35km、乙部22km

熊石鮎川町の交差点を過ぎるとR229、R276、R277の3国道重複区間となって江差を目指す。ただし標識では最上位のR229だけが標示されている。

集落を過ぎると平穏な海岸沿いの快走路となる。地形図では「鮎川海岸」と書かれており、しばらくの間砂浜が続く。

これといった特徴的なものの無い快走路が続くと「R229らしくない」と感じてしまうが、終盤にかけてはそういう区間の割合も増してくる。

海岸が見えなくなる箇所もあるが、海岸線から大きく離れる区間はない。

↑(229)江差30km、乙部17km

冷水(ひやみず)橋の手前は防風柵が整備されている。

館平地区へ入る。八雲町内の区間も残り少なくなってきた。

相沼地区には信号機がある。

相沼内橋を渡ると折戸地区へ。八雲町(旧:熊石町)最後の集落だ。

トンネルカウンター: 58

折戸地区を過ぎるとすぐに豊浜トンネル(L=1270m)へ入っていく。「豊浜トンネル」というと崩落事故があったことで有名な余市・古平町界のトンネルを想像するが、同名のトンネルが250km以上離れた場所に存在しているのだ。

海岸沿いを避けて内陸に迂回する線形やトンネル内部の作りは、ほぼ同時期に開通した茂津多トンネルに近い。ただしあちらと比べると交通量が多くなっている。

余市・古平町界の豊浜トンネルほどの知名度はないが、実はこのトンネルの旧道でも災害が起こっていたのである。

トンネルの中間地点近くで乙部町に入る。熊石町が八雲町と合併し渡島管内になったため、R229はここで再び檜山管内に戻ることとなる。トンネル内壁のペイントでは「熊石町」の表示が残っているが、上部の内部照明式標識は「八雲町(旧熊石町)」に修正されている。また、ここでもトンネル内壁にキロポストが設置されている。

※マウスオーバーでトンネル内壁の295KPを表示します。

画像は豊浜トンネルを抜けて少し進んだ後、起点方向を振り返って撮影したもの。左側に写っているのは豊浜1号トンネルであり、旧道を構成していた8本のトンネルのうちの1本である。

豊浜トンネルの旧道では1962年10月17日に大規模な土砂災害が発生し、死者と行方不明者合わせて17名ともう一方のトンネル(死者20名)に次ぐ痛ましい事故だったそうだ。

↑(229)函館83km、江差25km

乙部町に入ったので行き先には函館が現れるようになった。

豊浜地区には漁港があり、これまで何度も見てきた漁村の風景である。

花磯地区に入ると前方に鮪ノ岬(しびのさき)が見えてくる。岩肌がマグロの鱗のように見えること、岬の形がマグロの背に似ていることが名前の由来とのことだ。

トンネルカウンター: 59

その鮪ノ岬を鮪の岬トンネル(下りL=400m、上りL=363m)で通過する。厚瀬トンネルと同じく上下線に分かれたトンネルだが、古い方のトンネルも改修を受けているようである。

下り線のトンネルは幅に余裕のある車道と広めの歩道が確保されており非常に走りやすい。

トンネルを抜けた直後の三ツ谷橋までが上下線に分離された区間となっている。

乙部町内は高台を通る区間が度々現れるのが特徴的だ。先ほどの鮪ノ岬も、トンネルが開通する前は岬の高台に上っていたようだ。

高台の区間が増えるということは当然カーブも現れる。

道の駅まで2kmの標識。前方には上り坂が待ち構えており、自転車にとってはちょっとした難所である。

穴澗岬付近からの高台区間はカーブが連続し、道の駅へ向けて高度を稼いでいく。

高台区間の途中で、可笑内(おかしない)川にかかる可笑内橋を渡る。可笑内はアイヌ語由来の地名だが、漢字の当て方が興味深い。

道の駅ルート229元和(げんな)台に到着。標高は40mを超えており、そこそこの高度を稼いだことになる。

道の駅の建物は小ぶりだが、最低限必要なものは揃っている。

モニュメントが設置された展望スペースからは海岸線の素晴らしい眺めを堪能することができる。海沿いの道路は国道指定前の地方費道江差瀬棚線時代のルートだろうか？

道の駅を過ぎても少しの間は高台を走ることになる。

海岸沿いの低地に戻った後、来拝橋で突符川を渡る。なお、来拝橋の先に鳥山トンネルがあったようだが、開削されて廃止となっている。1993年撮影の航空写真や1995年発行の地形図ではトンネルの姿を確認できるが、2002年発行の地形図ではトンネルが記載されていない。

かつてのトンネルの名前にもなった鳥山地区でr1061旭岱鳥山線と交差する。国道交点近くに立つr1061の標識は個人的に好みのデザインだったりする。

鳥山地区を過ぎると道路の左側に崖がそびえ立つようになる。地層がはっきりと露出しておりなかなか見ごたえがある。

トンネルカウンター: 60

海食崖に突っ込んでいくようにして館の岬トンネル(L=462.0m)を通過する。海岸側には廃止された先代のトンネルがある。

館の岬はトンネルの終点側からの方が見た目が良い(写真は残念ながらなし)。町のHPなどでは「東洋のグランドキャニオン」という言葉が使われておりいささかオーバーな表現にも思えるが、素晴らしい見た目の断崖絶壁であることは確かだ。

館の岬を後にして乙部町の中心部へと向かっていく。

姫川橋で姫川を渡ると、町役場のある緑町地区に入る。

緑町の交差点でr460乙部厚沢部線、r461乙部港線と交差する。左折がr460で厚沢部方面、行先が書かれていない右折のr461が乙部港方面へと通じている。

ほとんどの区間が海岸沿いを通っていることもあって、R229には2方向とも道道が接続しているような十字路がほとんど存在しない。この交差点を除くと余市町沢町のr228交点(地図上ではr228・r378交点)、積丹町美国町のr568交点のみが該当する。

↑(229)函館71km、江差12km

江差までの距離は12kmと表示されているが、国道終点までの距離は6km程しか残されていない。

乙部町の中心部は町域の南側にあるので、町境までの距離は短い。

緩やかなカーブの途中で江差町との境界に到達する。長かったR229の旅路だが、ついに最後の町までやってきたのだ。

カントリーサインには、戊辰戦争で沈んだ軍艦「開陽丸」が描かれている。古くから栄え檜山振興局の所在地でもある江差町だが、現在では人口が1万人を下回っている。

江差町に入ると内陸の方へ進路を変えてゆく。ほとんどの区間で海岸沿いを走るR229だが、町境付近を最後に海岸沿いといえる区間はなくなる。

トンネルカウンター: 61

海から離れると、R229の61本目にして最後のトンネルである、慶喜(けいき)トンネル(L=328.0m)へと入っていく。長短様々なトンネルがあったR229の最後を締めくくるのは、あまり広くなく長さも手頃な、良くも悪くも平凡なトンネルである。

最後のトンネルを過ぎると海岸からは700mほど離れた平地となり、「R229らしくない」印象を受ける。

水堀地区でr935小黒部鯎川(おぐろっぺうぐいがわ)線と交差する。この交差点がR229における最後の道道との交差点となっている。なお、この路線の標識もなかなかのお気に入りである。

鯎川橋を渡ると柳崎地区へ。終点まであともう少し。

柳崎橋で厚沢部(あっさぶ)川を渡る。なお、この橋の途中から道路の左側に厚沢部町との境界線が迫っている。

終点まで300m。

終点

実は交差点の写真を撮り忘れてしまったので、交差点手前のこの画像で代用する。交差点はR227に対してR229が交差するT字路で、手前には287KPが設置されている。左折はR227厚沢部・函館方面、右折はR227江差市街方面およびR228経由で松前方面。この交差点は厚沢部町との境界線に近く、左折するとすぐに厚沢部町へと入っていくことになる。

最後に終点のキロポストとR227の卒塔婆を貼ってR229のレポートは完結としたい。